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生きることの全体像~ICF~①

こんにちは。

だいぶ暖かくなってきました。春は本当に気持ちの良い季節です。毎年この季節を迎えられたことをとても有難く思ってしまいます。

さて、今日のテーマは表題の通りです。

 

テーマに??と思った方、私も2年前まで同じでした。実は病院、特に急性期病院に勤務しているとほとんど接することがない言葉なのです(在宅医療に携わる今となっては、病院の医療者にも知ってほしい内容だなぁと少し思っています)。

前回のお話のなかで、「在宅療養は両輪で回る」と書きました。それは「医療」と「介護」です。

この医療と介護を結ぶ車軸にあたるところが今回のテーマ、「ICF」です。

 

??と思った方、私も同じでした。今日はこのICFについて医療者視点から少し話してみようと思います。ICFと聞くと「私には関係ないんじゃない?」と思われるかもしれませんが、療養者さんや御家族に知ってもらうことは意味のあることだと思っています。

なぜならICFは在宅療養を支える中での「共通言語」だからです。自分や家族のことなのに、自分達の知らない言語で回りが動いていたら怖くありませんか? 今日のお話が在宅療養の一助になれば幸いです。

 

尚、もしもケアマネージャーや介護福祉士など介護の専門職の方が本記事や関連記事を読まれて「それは違う!」と思われることがあれば、是非とも本ホームページのお問合せフォームかメールフォームより、もしくは直接対面でもご意見をお寄せください。批判や勉強の機会をいただくことは大変ありがたいことです。

 

さて、ICFとは何でしょうか。英語で書くとInternational Classification of Functioning, Disability and Healthです。

より一層??ですね。わかります。

では日本語で書けばどうなるでしょうか。ICFは「国際生活機能分類」です。まだ??ですね。

ICFとは患者さん(利用者さん)の生活全体を網羅する視点です。療養する方の生活を様々な視点から観ることより、生活を支えるためにはどのような支援が必要かを考えるのです。

 

ICFは医療とも密接な関係があります。

医学の父ヒポクラテスの時代から、医療は「病気を治すこと」に主眼をおいてきました。その結果医療は高度に発展し、昔は治らなかった疾患が治るようになりました。現在も様々な医療技術や新薬が毎年のように発表され、患者さんの予後を改善しています(婦人科腫瘍チームで動いていた時は毎年新しく出てくる分子標的薬を学び、その治療効果が発表されると知識をアップデートして現在の標準治療と比較検討し、手術においても新たな術式やデバイスが出てくるので習得し、、と医療の日進月歩を肌で感じていました)。

ですが、医療が進歩しても患者さんは「元の生活」に戻れるとは限らないのです。医療の力によってしんどい状態から「回復」したとしても、「障害」が残ってしまい医療や介護を必要とすることが多いのです。また、年を重ねると疾病の有無にかかわらず生活に支援を必要とする方も増えていきます。

今の日本において「治す医療」は当然不可欠です。しかし同時に「支える医療(治すことを目的とせず、患者さんの生活状況の維持と改善を目的とする医療)」も同じくらい必要だと思っています。

この「支える医療」を行う上で重要な視点が「ICF」です。この視点を「医療」と「介護」のプロが共有することにより適切な支援ができると考えています。患者さんや御家族も、ぜひ我々とこの視点を共有しましょう。

蛇足ですが、ICFと対になる言葉があります。それは「ICD」です。International Classification of Disease、国際疾病分類です。これは全ての医師が知っている内容で、「治す医療」に必要不可欠な視点です。

少し長くなってきましたので、中途半端ですが本日はこのあたりで。乱文で失礼いたしました。次回はICFについて具体的に書いてみようと思います。

 

本日もありがとうございました。

少しでも在宅医療への理解に繋がればと思い、本ブログで情報発信をしています。本ブログを読まれて不快な思いをされる方がいらっしゃるかもしれませんが、どうかご容赦ください。

 

西宮市の訪問診療 ケイ往診クリニック